―新たな入試改革、教科書改訂に寄せてー
人は何のために学ぶのでしょう?!
この世界に絶対的な価値を持つものは何も存在しません。善悪でさえも時や場所が変われば変わってしまいます。だからこそ、学ぶことが大切です。日々流転するこの世の中で、生きる価値を見いだせる人間として人生を歩んでいくために人は学ぶのです。
てらこや「濫觴(らんしょう)」の学習システム
てらこや「濫觴(らんしょう)」は、宿題を出しません。能力別クラス編成もありません。単元ごとの確認テストもありません。さらに、定期テスト対策のための特別講習も行いません。なぜだと思われますか?
日々の学習が単にテストで点数を取ることを目的にしてしまえば、うわべだけの学力しか期待できません。一斉授業を廃し、反復学習法を取り入れることによって、個々の生徒が学習する機会を増やし、着実に学力を身に着けられるような学習システムを作っています。文科省が「深い学び」を提唱し、来年度からセンター試験に代わる「共通テスト」を導入するのも、学習によって獲得した知識を土台として、物事を深く洞察し行動できる力(生きる力)を身につけてほしいからです。
人生の究極の目的 自己実現
子どもたちが学びの楽しさを知り、さらなる好奇心を掻き立てられるような教室運営を心がけています。そして、やがてその先に、生きることとは何かを実感しつつ自己実現への道を模索できる環境を整えることに努力していきます。
新しい教科書 SDGs
今、私たちを取り巻く世界は様々な試練に立たされています。地球温暖化・自然災害・食料問題・少子高齢化・経済格差etc、そしてCOVID-19。これまでは、このような課題の解決は往々にして権力機構に委ねられていると考えられるばかりで、私たち自身にその解決方法を突き付けられているとは考えられてきませんでした。今年度改訂された小学校の教科書、来年度改訂の中学校、再来年度改訂の高校の教科書に共通するテーマ…それは SDGs(Sustainable Development Goals持続可能な開発目標)です。この世界に生きる老若男女すべての人に、「すべての人が安全に、幸福に生きるための方法を考えてほしい。」と、世界中の、政府・各界の指導者たちが真剣に望んだ結果こそが、文科省によってこの新しい教科書がつくられた理由なのです。かつて、J.F. Kennedyアメリカ大統領が、その就任演説の中で、”ask not what your country can do for you—ask what you can do for your country.”(「国があなたのために何ができるかではなく、あなたが国のために何ができるかを問うてください。」)と述べましたが、今、この言葉がすべての人々に投げかけられています。
バランスの取れた学生生活を!
子どもたちが、勉強・部活動を適度に行う機会を平等に与えられることが肝要です。巷では、社会人の「work-life balance」の議論が高まっていますが、子どもたちの生活にも同様のことが当てはまりましょう。
エピローグ
東日本大震災から十年、私たちはたくさんの試練を経験してきました。そして、今年コロナウィルスという世界中の人々を巻き込んだ大きな危機が私たちを襲っています。今こそ、なぜ人は学ぶのかを考えながら学ぶときではないでしょうか?