入試問題にチャレンジ⑪上位校を目指す中3生へ(数学)

1. 1目もりが縦、横ともに1cmの等しい感覚で線が書かれている方眼紙があり、この方眼紙の線に合わせて1辺の長さがncmの正方形の紙を2枚切り取る。この2枚の紙を、重なる部分が1辺の長さ1cmの正方形となるようにはり合わせる。このはり合わせた紙の上に、1辺の長さ1cm正方形の黒いタイルと白いタイルを、次の①、②の方法で順にしきつめ、使われたタイルの枚数を調べることにする。ただし、nは2以上の整数とする。

① はり合わせたとき、上になった1辺の長さがncmの正方形の紙に引ける2本の対角線のうち、重なっている部分を通る方の対角線を引き、それを伸ばした直線を下になった紙に引く。

② ①で引いた線の上には黒いタイルを、それ以外には白いタイルを、方眼紙の線に合わせてすき間なくしきつめる。

 

例  n=3のとき、
① 下の図のように、はり合わせて上になった正方形の紙に対角線ABを引き、それをCまで伸ばす。
② 図1の線分ACには黒いタイルを、それ以外には白いタイルをしきつめる。この結果、図2k

ようにタイルがしきつめられ、使われた黒いタイルは5マい、白いタイルは12枚である。

このとき、次の問いに答えよ。
(1) n=5のとき、使われた白いタイルの枚数を求めよ。

(2) 使われた白いタイルの枚数が144枚のとき、使われた黒いタイルの枚数を求めよ。

神奈川 ’07

 

2. 数学授業で、先生から次の問題が出された。

問題  6で割ったとき2余る正の整数と、6でわったとき3余る正の整数との積は、どんな数になるだろうか。

(1) みほさんは、どんな数になるか調べるために下の表をつくった。表中のア、イにあてはまる数の組を1つ書け。アにあてはまる数は8より大きい数とする。

(6でわったとき2あまる正の整数 )   ×          ( 6でわったとき3あまる正の整数 )     =   (積)

2                                     ×           3                   =     6
2                                     ×               9                   =   18
8                                     ×           3                   =   24
8                                     ×           9                   =   72
ア  □                               ×             3                   =   イ□

(2) みほさんは、(1)で調べたことから、「6でわったとき2余る正の整数と、6でわったとき3余る正の整数との積は、いつも6の倍数である。」と予想し、その予想が正しいことを次のように証明した。みほさんの証明を完成せよ。

証明 6でわったとき2余る正の整数を6m+2と表す。ただし、mは0以上の整数とする。

 

 

したがって、6でわったとき2余る正の整数と、6でわったとき3余る正の整数との積は、いつも6の倍数である。

難(3) みほさんが(2)で証明した数の性質をもとに、正の整数a、b、cについて次の事柄が成り立つかどうか考えた。

a でわったとき b 余る正の整数と、a でわったとき c 余る正の整数との積は、いつも a の倍数である。

よし子さんが考えたことについて、

① b が4、c が6のとき、下線のことがらが成り立つような a にあてはまる数は3つある。そのうちの1つが24である。a にあてはまるほかの2つの数を求めよ。

② a が 7 のときは、その余りである b と c にどんな数をあてはめても、下線のことがらが成り立たない。このように、下線のことがらが成り立たない a のうち、20以下の2けたの数をすべて求めよ。

岐阜 ’14

 

解答 1. (1)  40枚  (2)  17枚

解説
1. (1)  タイルの総数は、52 ×2=50 (枚) 重なっているのが1枚。→  50-1=49 (枚)
黒のタイルの数は5×2=10 (枚) 重なっているのが1枚  →10-1=9 (枚)
したがって、49-9=40  (枚)
2. (2) 正方形の1辺の長さが n cmのとき、
黒いタイルの数は、 2n-1 (枚) 、白いタイルの枚数は、(2n2-1)-(2n-1)= 2n2-2n  (枚)
したがって、 2n2-2n=144   2n(n-1)=144    n2-n-72=0  (n+8)(n-9)=0
n≧2より n=9 黒いタイルは、2×9-1=17 (枚)

2.  (1) ア 14    イ 42
(2)  6で割ったとき 2余る正の整数を6m+2と表す。ただし、mは0以上の整数とする。 6で割ったとき 3余る正の整数を6n+3と表す。ただし、nは0以上の整数とする。
この2数の積は、(6m+2)(6n+3)=36mn+18m+12n+6=6(6mn+3m+2n+1) ここで、6mn+3m+2n+1 は整数だから 6(6mn+3m+2n+1)は6倍数である。
(3) 8、12       (4)  11 , 13 , 17 , 19

解説 (1)  ア 6×2+2=14   イ  14×3=4
(3) ① M、Nを0以上の整数とすると、この2数は、aN+b (0≦b<a),aM+c (0≦c<a)と表される。したがって、この2数の積は、(aN+b)( aM+c)=a2MN+abM+caN+bc=a ( aMN+bM+cN )+bc
b が4、c が6のとき この2つ整数は、aN+4 (0≦4<a) , aM+6 (0≦6<a) と表される。この2数の積は、(aN+4)( aM+6)=a2MN+4aM+6aN+24=a(aMN+4M+6N)+24
したがって、aは7以上の24の約数である。8、12、24    答 8、12

②  ①より、aはbcの約数で、0≦b<a) , 0≦c<aを満たすとき、2数の積はaで割り切れる。ここで、これが成り立たないのは、bcが素数のときである。(bcが素数のとき、aがその数の約数になるとrすると、bまたはcのどちらかがその素数となり、aでわったときのの余りとなることはない。したがって、a= 11 , 13 , 17, 19